こんにちは、じくあし(@jikuasi)です。
本日ご紹介する一冊はコチラ!
”東京の文教地区の町で出会った5人の母親。育児を通して心をかよわせるが、いつしかその関係性は変容していた。―あの人たちと離れればいい。なぜ私を置いてゆくの。そうだ、終わらせなきゃ。心の声は幾重にもせめぎ合い、それぞれが追いつめられてゆく。凄みある筆致で描きだした、現代に生きる母親たちの深い孤独と痛み。渾身の長編母子小説。”amazonより引用
はい、第3回アメトーーク読書芸人の回で、オードリーの若様がオススメしていた作品です!
①実際に起きた殺人事件をもとにしたお話
②ママ友同士のいや~な人間関係のもつれ
③どこにでもありうるリアルな話
舞台は東京。5人の母親と、その子供達の日常を描いたストーリー。
5人の母親と、その子供が1人か2人ずつ。
さらに旦那もいるので、登場人物の名前を覚えるのが大変です。
(不倫相手の名前とかも出てくる。労力を増やすな…笑)
最初は誰が誰だか分からなくなりますが、ストーリーが進むにつれてだんだん分かってきます。
だからいちいち前のページで確認したりしなくても問題はないです。
が、やっぱり分かんねぇよっ!子供生み過ぎッ!!
て人のために分かりやすく載せておきますね。
目次
登場人物
繁田繭子
開けっぴろげで飾らない性格。5人の中では一番年下。
夫の遺産が手に入るはずでマンションを購入したが、実際は予定額の半分にも満たず、金銭的に苦労する。
意識低い系。自分はおろか子供にもスナック菓子をバリボリ食べさせる。
若干マイルドヤンキー気味。
夫 祐輔
娘 怜奈
久野容子
ライフスタイルや教育方針には特にこだわりを持たない。
のほほんと過ごせればいいなと考える。もっさり系。
他人の動向で流されやすい。
人付き合いが基本的に苦手。
疑い深く、被害妄想気味の性格。悪気はないのだが…
小林瞳のことを好意的に思っている。おそらく性格や考え方が自分に一番近しい存在だという仲間意識。
しかし、小林瞳の方からはあまりにも入り込んでくる容子を煙たく想い、距離を置くようになる。
夫 真一 容子の愚痴にいつもうんざり。(言葉には出さない)
息子 一俊 ぼーっとしていて、周囲の子供から少し浮いている。
高原千花
美人で、人付き合いもそつなくこなす。
家庭の収入は平均よりも高い。服、家具などひとつひとつのセンスが良い。
プチセレブ系。
夫 賢 造園・エクステリアの設計事務所を経営する。
長男 雄太 叱らないという千花の教育方針のためか、すこしやんちゃ。
次女 桃子
小林瞳
5人の中では一番”普通”。
若干臆病で慎重になり過ぎなところがある。ボランティアサークルに参加。
高校時代、摂食障害を患った。
夫 栄吉 宗教団体の幹部で、瞳ともそこで知り合った。
長男 光太郎
長女 茜
江田かおり
繭子と同じマンションの最上階のフロアの住人。
高原千花はプチセレブだが、江田かおりはほんとのセレブ。
繭子から「マダム」と呼ばれている。
繭子に衿香の服やおもちゃのお下がりをあげる。
性格的はキツめ。思ったことはすぐ口にして相手に言う。
行動も早い。
ある種一番まともなのでは…と思う。
が、結婚前からずっと不倫している。
長女 衿香 私立に通う小学生。聞き分けの良い優等生。
夫 護
田山大介 かおりが出産前まで勤めていた出版社の上司。かおりの不倫相手。
橘ユリ かおりの出版社時代の同僚。小学校受験に関して取材をする。
①実際に起きた殺人事件をもとにしたお話
この小説は1999年に起きた文京区幼女殺人事件をモデルに書かれた話です。
幼稚園ママ同士の付き合いで、ある女性Aは被害妄想に陥って、ボスママの娘を公衆トイレで殺害してしまうという、傷ましい事件です。
作中でも同じシーンが書かれていますが、寸前で自らの中から湧き出てくる泣き声で、ふっと我に返り、殺さずに済んだ、というシーンになっています。
この、事件と結末を変え、救いをもたせるようにした点が、作者の角田光代さんの想いが込められているのだと感じます。
②ママ友同士のいや~な人間関係のもつれ
最初はね、みんな仲良しだったんですよ。
幼稚園終わりのおしゃべりはもちろん。
「ちょっとお茶して行かなぁい?」
「わー!いくいく♪」
とか、
みんなおかずをタッパに入れて持ち寄ってピクニックとか、
もうすごいなごやかな関係だったわけ。
でも、なにか事件があったわけでもなしに、気付いたらなんだかぎすぎすした空気が広がっていく。
きっかけはそう、
THE☆お受験
小学校のお受験をきっかけにぎくしゃくしてきます。
やれあの子は私立を受けるみたいだとか、
あそこの家はせいぜい国立じゃないと学費が払えないだの、
だれそこの○○ちゃんは幼児教育にもう通いだしてるだの、
彼女は受験をしない組のわたしのことを鼻で笑ってるだの
まー出てくる出てくる。
うわさとか、
被害妄想とか
オンパレード。
関係が良好だったころは他愛のない日常の楽しい会話だったのが、
同じ言葉を使っても、亀裂が入ったあとに聞くと、いやみにしか聞こえなくなっちゃう。
そういうのからまた思い込みが始まって…
相手へ不審感が強まって、
こう言われたことに腹が立って、ちょっと嫌がらせしちゃう…
いや口で言えや!
ってツッコミたいです。。。
が、そうもいかないんでしょうなぁ。
女の世界はコワイ。(ガクブルガクブル)
角田光代さんの『森に眠る魚』読んでるんだが、中盤越えたあたりから気分が悪くなってきた…(−_−;)#読書
— jikuasi@読書ブロガー (@jikuasi) 2017年2月13日
確実にこうなります…
③どこにでもありうるリアルな話
ほんこれ。
とくに、登場人物で特別変わった人っていないんです。
大変な事件が起こるわけでもなし。
それなのに、ちょっとしたことで揺れ動く人間の心模様。
それもとことんマイナスの方向に動いていく様を描く角田先生の腕がすごい。
しかもびっくりするぐらい最悪な方向に向かっていきます。
どろっどろ。
なんかなー。
今はスマホが普及して、SNS疲れとか、ネットいじめとか、よく聞きますよね。
昔は無かったような事件とか、心の病とか、いっぱいニュースで目にします。
でもね、それってネットやスマホだけの問題じゃないと思うんですよね。
この作品の舞台は1999年頃です。
登場人物はスマホはおろか、携帯も持ってません。
連絡先の交換は、紙に固定電話と住所を書いて渡すという時代。
でもそんな時代でもこういう人間関係のもつれはある。
ということは、やっぱりわたしたちの心の根底に原因があるんじゃないかなって。
誰しもが、「良く思われたい」「あいつには負けたくない」
「嫌われたくない」「こう言ったら変に思われるから言わないでおこう」
とかとかって思ってるでしょ。
ほんで、基本的に全部「我が身かわいい」の精神なんですよね。
他人に気を使ったり、思いやったりしているようで、実は自分の評価を気にしている。
哲学者カントの、「定言命法」という主張がありまして。。それは
「○○の目的の為に何かをするのではなく、ただそれ自体が目的となるように行動すべし」
つまり、「自分が”良い人だ”と思ってもらえるように他者に親切にするのではなく、”ただ単純に親切にする”という気持ちで行動しろ」
っていうことなんですね。
まあすべてカントの言うような行動は無理がありますけど、そういう風に考えることもたまには必要かなって思います。
他人からどう思われてるとか
自分はあいつより収入が○○円少ないとか
あの子が受験するならうちの子もした方がいいかもとか
他者を気にしてばっかりいると生きるのが辛くなるんですよ。
この世界は自分がいるから存在するんだから、自分を中心に生きなきゃ。
みたいなね。
なんかRADWIMPS的みたいになってきたな。
そんな風に考えさせられる一冊でした。
ぜひご一読を。
ただし気分は落ちます。ご了承を。
よーい、どくしょっ!
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