こんにちは。読書ブロガーのじくあし(@jikuasi)です。
本日ご紹介する一冊はこちら!
第155回直木賞受賞作
主の腕に惚れた大物俳優や政財界の名士が通いつめた伝説の床屋。ある事情からその店に最初で最後の予約を入れた僕と店主との特別な時間が始まる「海の見える理髪店」。
意識を押しつける画家の母から必死に逃れて十六年。理由あって懐かしい町に帰った私と母との思いもよらない再会を描く「いつか来た道」。
仕事ばかりの夫と口うるさい義母に反発。子連れで実家に帰った祥子のもとに、その晩から不思議なメールが届き始める「遠くから来た手紙」。
親の離婚で母の実家に連れられてきた茜は、家出をして海を目指す「空は今日もスカイ」。
父の形見を修理するために足を運んだ時計屋で、忘れていた父との思い出の断片が次々によみがえる「時のない時計」。
数年前に中学生の娘が急逝。悲嘆に暮れる日々を過ごしてきた夫婦が娘に代わり、成人式に替え玉出席しようと奮闘する「成人式」。人生の可笑しさと切なさが沁みる、大人のための“泣ける”短編集。
amazonより引用
第155回直木賞を受賞した作品です。
表題作の『海の見える理髪店』を含む、6つ短編集となっています。
ちなみに「直木賞」と、よく聞く芥川賞の違いって知ってます?
二つとも、日本文学振興会というところが設定している賞です。
文藝春秋っていう文学雑誌みたいなの出してるトコね!
直木賞とは
直木賞は、直木三十五さんていう、創造者のお友達のお名前をとって設定されてる賞で、
主に、エンターテイメント作品に与えられるものです。
芥川賞とは
一方、芥川賞は、文豪 芥川龍之介の名を取った賞で、
こちらは純文学、つまり芸術性の高い作品に与えられるものです。
で、どちらも毎年2回ずつ受賞作が発表されるんですね。
「あれ?ついこないだも芥川賞って発表されてなかった!?
もう1年経ったの!??」
みたいな風に思う方も多いかもしれませんが、実は年に2回受賞されるんですね。
ざっくり言うとこういう感じです。
あ、別に直木賞と芥川賞の、どっちが上とか下とかはないですからねー!
著者紹介
1956(昭和31)年、埼玉県生れ。成城大学経済学部卒。広告制作会社勤務を経て、フリーのコピーライターに。1997(平成9)年『オロロ畑でつかまえて』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。
2005年『明日の記憶』で山本周五郎賞を、2014年『二千七百の夏と冬』で山田風太郎賞受賞を、2016年『海の見える理髪店』で直木三十五賞を受賞。
著作に『ハードボイルド・エッグ』『神様からひと言』『僕たちの戦争』『さよならバースディ』『あの日にドライブ』『押入れのちよ』『四度目の氷河期』『愛しの座敷わらし』『ちょいな人々』『オイアウエ漂流記』『砂の王国』『月の上の観覧車』『誰にも書ける一冊の本』『幸せになる百通りの方法』『家族写真』『冷蔵庫を抱きしめて』『金魚姫』『ギブ・ミー・ア・チャンス』など多数。
新潮社HPより引用
著者の荻原さん、現在61歳ですが、小説家デビューしたのは39歳のとき!
元々フリーのコピーライターとして、文字を書く仕事はされていたようなんですが、
「自分の好きなように、書きたい文章を書きたい」と思い、小説家を目指したんだそうです。
ご立派ですねー。これまで築き上げたものを投げ打って、「好き」なことを信じて貫く。
しかも、目指してから、ほんの2年ほどでデビューにまで至ってるので、
相当の努力をされたんだと思います。
で、これまで数々の作品で直木賞にノミネートはされていたものの、受賞には至らず。
今回の海の見える理髪店で、念願かなっての受賞です。おめでとうございます!
海の見える理髪店
主人公の青年が、海のそばにある、腕利きの主人がひっそりと営む伝説の床屋へ行く話。
そこで散髪をされながら、主人の現在に至るまでの紆余曲折が語られます。
読んでて、「このおっさんめっちゃ喋るやんけ」と思いました。笑
しかも、初めて来た見ず知らずの若者客に対して、こんなに赤裸々に過去を語るなんて。
僕がこの客の立場だったら絶対に嫌です。笑
「おまえの半生なんか興味ないから、もっとさぁ、ほら、ニュースとかの。
安倍ちゃん最近顔色悪いよね~
とかそういう世間話しようよ!」
てなります。
しかし、なぜ主人がこんなに客にべらべらと喋るのか。
この真相が物語の最後に発覚します。
というオチがある作品でしたー。
ストーリー自体はそこまで変わったものではないんですが、なんといっても
情景描写が綺麗なんですよ。
床屋の鏡にぱーっと写るしずかな海。
太陽の光を浴びてキラキラに輝く砂浜。
そんな床屋さん、めっちゃ素敵やないですか!
あと、みなさん床屋って行ったことあります!?
わたしは中学校くらいまでずっと床屋でした。
もちろん美容院の方がお洒落に今風には仕上がるんですが、
床屋はあの
散髪を受けている時間がいいんですよね。
しゃきしゃきと小気味よく聞こえる鋏のリズム。
店内に流れる古めかしいラジオの野球中継。
愛想はないけど丁寧な職人技を魅せるオヤジの腕。
リクライニングを倒されて、顔にかけられる気持ち良過ぎる蒸しタオル。
しょりしょりと心地よい音を立てて肌の上を踊る剃刀
うつぶせでガシガシと頭皮をもみこんで洗うシャンプー
会計時のガム。笑
![](https://honnyomu.com/wp-content/uploads/2017/04/dagashi002_gum-300x300.png)
あー、床屋行きたくなってきた。
そんな気持ちになる作品です。
成人式
もうひとつオススメなのが、短編集のラストを飾る『成人式』
まだ10代だった娘を、事故で亡くしてしまった夫婦の話。
悲しみに打ちひしがれ、忘れようとしても忘れられない。
夫婦のなかでも前に進む為にその話題はタブーとしていても、どうしてもよみがえってしまう娘の記憶。
もし生きていれば、もうすぐ成人式…。
もし生きていれば…
夫「そうだ、おれたちで代わりに成人式出ようよ!」
嫁(45) 「ファッッ!!????」
っていうお話です。笑
それまでの暗い後ろ向きだった夫婦に、希望の光が指して、
前向きに生きていくきっかけとなるであろうイベントになります。
まあ読んでみてください。
じんわぁ~っと心温まる、感動ストーリーになってますから。
まとめ
6つの短編集からなる『海の見える理髪店』
そのうち2つをピックアップして紹介しましたが、
残りの作品もどれも心温まるものばかりです。
第166回 直木賞受賞作の名に恥じぬ傑作となっております。
ぜひ、手に取ってごらんくださいませ。
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